税務調査の結果に納得いかない!再調査の請求と審査請求の手続きと勝率

税務調査の結果として追徴課税や経費否認を指摘されても、必ずしもその内容に納得できるとは限りません。

実際、税務署の判断がすべて正しいとは限らず、納税者側が不服を申し立てる制度も法律で認められています。

しかし、どのように争えばよいのか、勝てる可能性はあるのかが分からず、そのまま受け入れてしまう方も少なくありません。

この記事では、税務調査の結果に納得できない場合に利用できる再調査の請求・審査請求の制度や手続き、実際の勝率について分かりやすく解説します。

税務調査の結果に納得できない場合はどうする?まず知っておくべき基本

税務調査の結果に不満があっても、ただ納得できないと主張するだけでは税務署の判断を変えることはできません。

ここではまず、税務調査後に納税者が取れる対応の全体像を整理します。

【最重要】納得がいかないなら修正申告をしてはいけない

税務調査の終盤、調査官からこの内容で修正申告を出してくださいと勧められることがあります。

しかし、一度修正申告書を提出してしまうと、その内容を後から不服申立て(再調査・審査請求)で争うことは原則としてできません。

納得がいかないままハンコを押してしまうと、この記事で解説する救済手続きが使えなくなるため、安易に応じないよう注意が必要です。

納得できない場合は、税務署側が強制的に税額を決める更正(こうせい)という処分を待つのが、争うための大前提となります。

修正申告を出した瞬間、争う権利を失います。

これが最大の罠です。

税務調査の結果の主なパターン

税務調査の結果は、主に次の3つに分かれます。

結果 内容
是認 申告内容に問題がなく追加税額なし
修正申告 納税者が自ら申告を修正し追加納税
更正 税務署が税額を決定し直す処分

納税者が不服申立てを行えるのは、基本的に税務署による更正処分などの行政処分が行われた場合です。

税務署の判断に不服がある場合の手続き

税務署の処分に納得できない場合、次の手続きがあります。

手続き 概要 争う相手
再調査の請求 税務署に再検討を求める 税務署
審査請求 国税不服審判所に申し立てる 第三者機関
税務訴訟 裁判所で争う

多くの場合、まずは再調査の請求または審査請求が行われます。

税務調査で納得できない指摘の例

実務では次のような指摘が争いになりやすい傾向があります。

  • ・経費として認められないと判断された
  • ・売上除外を指摘された
  • ・外注費が給与と認定された
  • ・在庫計上漏れを指摘された

これらは事実認定や法律解釈が関係するため、証拠や説明によって判断が変わる可能性があります。

再調査の請求とは?税務署に再検討を求める制度

税務調査の結果に不服がある場合、まず利用されることが多いのが再調査の請求です。

これは、処分を行った税務署に対して判断の見直しを求める制度です。

再調査の請求ができる期限

再調査の請求には期限があります。

処分を知った日の翌日から3か月以内。

期限を過ぎると原則として手続きができなくなるため注意が必要です。

3か月、あっという間です。

気づいたら期限切れ、ということもあります。

再調査の請求の流れ

再調査の請求は次の流れで進みます。

  • ・再調査請求書の提出
  • ・税務署による審理
  • ・必要に応じて意見聴取
  • ・決定通知

税務署が改めて証拠や事実関係を確認し、処分が適切だったかを判断します。

再調査で結果が変わることはある?

税務署が自らの判断を見直す制度であるため、全面的に処分が取り消されるケースは多くありません。

ただし、新しい証拠が提示された場合などには、一部の指摘が修正されるケースもあります。

自分が出した処分を、自分で見直す。

だから、覆ることは少ないんです。

審査請求とは?国税不服審判所で争う手続き

税務署の判断に納得できない場合は、審査請求を行うことも可能です。

審査請求では、税務署とは別組織である国税不服審判所が中立的な立場で判断します。

国税不服審判所とは

国税不服審判所は、税務署の処分が適切だったかどうかを審理する第三者的な機関です。

専門の審判官が、税務署と納税者双方の主張や証拠を比較し判断します。

税務署とは別組織。

これが、再調査との大きな違いです。

審査請求の流れ

審査請求は次のような流れで進みます。

  • ・審査請求書提出
  • ・税務署の主張書提出
  • ・納税者の反論・証拠提出
  • ・口頭意見陳述
  • ・裁決

審査請求の結果として、処分の取り消しや減額が認められる場合があります。

審査請求の期限

審査請求の期限は、処分を知った日から3か月以内です。

再調査を行った場合は、その決定通知から1か月以内に審査請求を行う必要があります。

再調査を経由すると、1か月以内。

さらに短くなります。

税務調査の不服申立ての勝率はどれくらい?

税務署と争う場合、多くの人が気になるのが勝てる可能性です。

国税不服審判所における認容率(勝率)の実態

税務署と争って納税者の主張が認められる割合を認容率と呼びます。

直近の統計データに基づくと、現実は非常に厳しい数字となっています。

裁決の結果 割合(目安) 内容
全部認容 約7% 納税者の主張が100%認められた
一部認容 約6% 主張の一部のみ認められた
棄却・却下 約87% 税務署の判断が妥当とされた

統計上、主張が認められるケースは全体の約1割強にとどまります。

この約13%の壁を突破するためには、感情的な反論ではなく、証拠と法律に基づいた主張が不可欠です。

10件争って、1件勝てるかどうか。

これが現実です。

認容(勝利)の可能性を高めるポイント

不服申立てで認められる可能性を高めるには、次の点が重要です。

  • ・税務署の事実認定の誤りを証拠で示す
  • ・税法の解釈の違いを法律的に説明する
  • ・第三者機関による判断を求める

例えば、売上除外と判断された取引が実際には単なる計上時期のズレだったことを証明できれば、判断が覆る可能性があります。

納得いかない、だけでは勝てません。

証拠が必要です。

税務調査の不服申立てで重要なポイント

税務署と争う場合、成功の可能性を高めるためにはいくつかの重要なポイントがあります。

証拠資料の整理

税務調査では次のような資料が重要になります。

  • ・契約書
  • ・請求書
  • ・領収書
  • ・銀行口座の記録
  • ・メールなどのやり取り

これらの証拠があるかどうかで判断が大きく変わります。

当然ですが証拠がなければ勝てません。

税務調査に強い税理士のサポート

不服申立ては専門性が高く、税理士のサポートを受けることで以下を適切に進めることができます。

  • ・主張書の作成
  • ・証拠整理
  • ・税務署との交渉

専門家なしで争うのは、非常に難しいです。

まとめ|税務調査の結果に納得いかない場合は早めに対応を

税務調査の結果に納得できない場合でも、そのまま受け入れる必要はありません。

納税者には以下のような救済制度が用意されています。

  • ・再調査の請求
  • ・審査請求
  • ・税務訴訟

ただし、不服申立てが認められる割合は決して高くなく、証拠や法律的な主張が非常に重要になります。

また、納得していない段階で修正申告を提出してしまうと、争う権利を失う可能性がある点にも注意が必要です。

税務調査の結果に疑問がある場合は、一人で判断せず、税務調査に詳しい税理士へ早めに相談することが重要といえるでしょう。

税務調査の結果に納得いかない。

その気持ちは分かります。

しかし、感情だけでは勝てません。

証拠が必要です。

法律的な主張が必要です。

そして、何より重要なのは、修正申告を出さないこと。

納得していないなら、絶対に修正申告を出してはいけません。

一度出したら、もう争えません。

勝率は約13%と厳しい数字です。

しかし、ゼロではありません。

証拠があって、法律的に正しい主張ができれば、勝てる可能性はあります。

一人で戦うのは危険です。

税務調査に強い税理士に相談してください。

それが、あなたの権利を守る唯一の方法です。