赤字でも税務調査は来る!狙われやすい会社の特徴5選と実際にあった調査事例
税理士 高橋 英明
「うちは赤字だから税務調査は来ない」
もしそう思っているなら、その考えは非常に危険です。
税務署は「黒字か赤字か」だけで調査対象を決めていません。むしろ、不自然な赤字こそ疑われることがあります。赤字なのに突然の税務調査。そして売上除外や経費否認が見つかれば、多額の追徴課税。
赤字だから安心…
その油断が、後で大きな代償につながることもあります。
本記事では、赤字でも税務調査が来る理由と、狙われやすい会社の特徴、実際にあった調査事例を解説します。
目次
赤字なのに税務調査?その理由とは
税務調査の目的は「利益があるところから税金を取る」ことではありません。
税務署が見ているのは、次のような点です。
- 売上が正しく計上されているか
- 経費が適正か
- 消費税・源泉所得税が正しく納付されているか
赤字でも、消費税や源泉所得税は発生する可能性があります。
また、赤字を利用して利益を圧縮しているケースも疑われます。
つまり、赤字=安全ではありません。
「利益が出ていないのに、なんで税務調査が来るの?」と思うかもしれませんが、税務署は「本当に赤字なのか」を確認しに来るんです。
赤字でも狙われやすい会社の特徴5選
① 売上はあるのに赤字が続いている
売上が一定規模あるのに、毎年赤字が続いている場合、税務署はこう考えます。
「本当に利益が出ていないのか?」
原価率や経費割合が業種平均と大きく乖離していれば、調査対象になる可能性は高まります。
「同じ業種の他の会社は利益が出ているのに、なんでうちだけ赤字なの?」…税務署も同じように見ています。
② 役員報酬が高い
赤字なのに役員報酬が高額な場合、利益圧縮を疑われます。
特に家族役員への報酬は重点的に確認されやすく、以下が問われます。
- 実態があるか
- 適正水準か
「会社は赤字なのに、社長の給料は月100万円」…これ、怪しまれますよね。
③ 現金取引が多い
赤字でも現金売上が多い会社は危険です。
売上除外が疑われやすく、通帳との突合が徹底的に行われます。
現金残高が帳簿と一致しない場合、疑念は一気に強まります。
「現金売上があるのに赤字」…税務署から見たら「現金売上、ちゃんと全部計上してる?」と思われます。
④ 消費税の還付を受けている
消費税の還付申告は、税務署にとって「要チェック案件」です。
赤字であっても還付が発生していれば、以下を細かく確認されます。
- 仕入税額控除の妥当性
- インボイスの適正性
還付申告は「国からお金をもらう」行為なので、税務署も慎重にチェックします。
⑤ 関連会社との取引が多い
グループ会社や親族企業との取引が多い場合、以下を疑われることがあります。
- 不自然な価格設定
- 利益移転
赤字を利用して利益を移していないか、チェックされます。
「この会社は赤字だけど、関連会社は黒字。取引価格を操作して利益を移してるんじゃないか」…こう疑われます。
実際にあった赤字会社の調査事例
理論だけじゃなく、実際の事例を見ていきましょう。
事例① 赤字3年目で売上除外を指摘
売上は年商3,000万円規模。3年連続赤字でしたが、通帳と売上帳にズレがあり、現金売上の計上漏れが発覚。
結果、過去5年分をさかのぼられ、追徴課税が発生しました。
「赤字だから大丈夫」と思っていたら、実は売上を一部計上していなかった。それが見つかって、過去5年分まとめて追徴。こういうケース、実際にあります。
事例② 赤字だが交際費が過大
売上に対して交際費が異常に高く、業務関連性の説明ができず一部否認。
赤字だったにもかかわらず、経費否認により課税所得が発生しました。
「赤字なのに、なんでこんなに交際費が多いの?」と突っ込まれて、説明できず。結果的に経費が否認されて、赤字じゃなくなりました。
事例③ 消費税還付で調査対象に
設備投資により消費税の還付申告。インボイスの不備が見つかり、仕入税額控除の一部が否認。
還付どころか追加で税金を払うことになりました。
「還付申告したら、逆に追加で税金を払うことになった」…本当にあります。
赤字企業で重点的に見られるポイント
税務調査では特に次が確認されます。
- 原価率・利益率
- 在庫計上漏れ
- 役員貸付金
- 未払金・仮払金
- 源泉所得税の処理
数字の「不自然さ」があれば、赤字でも容赦なく指摘されます。
「なんでこの数字がこうなってるの?」この質問に答えられなければ、アウトです。
赤字会社が今すぐやるべき事前対策
① 売上と入金を照合する
通帳と売上帳の一致は基本です。
ここにズレがあると、真っ先に突っ込まれます。
② 経費の妥当性を説明できるようにする
領収書や契約書、代替証明を整理しましょう。
「この経費、何のため?」と聞かれて答えられるようにしておく。
③ 消費税申告を再確認する
還付申告は特に慎重に。
インボイスの不備がないか、もう一度確認してください。
④ 役員報酬の妥当性を見直す
水準と実態を説明できる状態に。
「この役員、実際に働いてる?」と聞かれて答えられるようにしておく。
⑤ 専門家へ相談する
調査前のチェックが、最大の防御になります。
「赤字だから大丈夫」と思って放置するより、今のうちに専門家にチェックしてもらう方が確実です。
まとめ|赤字は「安心材料」ではない
赤字だから税務調査は来ない…これは大きな誤解です。
税務署が見ているのは「利益」ではなく「整合性と不自然さ」です。
- 売上と通帳の一致
- 経費の妥当性
- 消費税の正確性
これらが整っていれば、赤字でも恐れる必要はありません。
しかし、不安がある場合は放置せず、早めに専門家へ相談することが重要です。
税務調査は、準備をしている会社と、していない会社で結果が大きく変わります。
「うちは赤字だから関係ない」…その考えを今すぐ捨ててください。
赤字でも税務調査は来ます。そして準備ができていなければ、赤字だったはずの会社が、税務調査後に「実は黒字でした」となって追徴課税を受ける。
こんな悲劇、避けられるなら避けてください。今日から、準備を始めてください。
個人事業主の税務調査はいつ来る?選ばれやすい時期と今すぐできる事前対策
税務調査の確率は?10年以上来ない人の特徴と、調査対象になりやすい売上規模の目安
脱税のリスクとは?税務調査で罰金以外に課されるペナルティまとめ